iwanmayatakaのファイル

つぶやいたこと(https://twitter.com/IwanMayataka)や何かの機会に書いたことの中で、自分の記録用と、他の方にも何かの役に立ちそうな内容をここに置いています。

慈善事業は西洋ではなく東洋から始まり、仏教によって拡大した

『慈悲』中村元 講談社学術文庫からの引用。一部文章を割愛・略してあります。 もともと社会事業とか慈善事業というようなことは、本来東洋において先ず盛んに行われていたのであって、西洋においては年代的にはるかに遅れて現れたのである。このことは史実…

最も人格の立派だった哲学者はスピノザ ラッセル談

スピノザの偉大さを簡単に伝える抜粋集 (『西洋哲学史』 近世哲学 スピノザ 著 バートランド・ラッセル 訳 市井三郎)より スピノーザは偉大な哲学者たちのうちで、もっとも人格高邁でもっとも愛すべき人である。知的には彼を凌駕したひとびとはいるが、倫理…

小林秀雄が語る読書・批評の極意

『兄小林秀雄との対話 人生について』著 高見澤潤子 からの引用です。 ツイート用に文章を短くしてあるところがあります。 「デカルトは、私の本は四度読んで欲しいと言っているよ。一度目は分からなくて漠然とでも全部読む。二度目は分からない所に線を引き…

釈尊の思想 言葉の並べ方と我執

よく釈尊が説いたのは四諦だ空観だと力説してるところを見るけど、彼が対峙して闘ったのは、そういったあらゆる言説を生み出す主体に対する恐怖であって、それがどんな言葉の形をとろうが、彼にとっては大差なかったと思う。要するに「言説を『我がもの』と…

中村元の文体

角川ソフィア文庫から発売の中村元「ブッダ伝」。手軽に要約されていて良い。原始仏典の翻訳をいきなり読んだら、その言葉がどういう行動の目的で使われていたのか分かりづらい(例えば「生を捨てよ」等)この本は具体的な行動(生涯)を基軸に描いてあるの…

法華経についてのプロポ

アランのプロポ風 法華経には内容がないと不満を持つ人が多いのはよく分かる。それは人間や世界の構造に関する合理的な記述が何も無いからだ。「縁起とはなんぞや。空とはなんぞや」そういうものが何もない。ただ「永遠に救われることを信じて慈悲行を実行せ…

中心人物の行為を支点にしなければ、信仰は徐々に恣意的に解釈されていく

一応メモっておく。ツイートより。 自分にとっては一番大切な発見。 わずか四日でこれだけの数が集まったのは本当に凄いし誇りに思う。滅茶苦茶嬉しい。でも先生の数が少なすぎないかね。在校の生徒が実名晒してるのに、現在名前が出ている教員さんは、たっ…

ブッダとニーチェの対論(バートランド・ラッセルによる)

ラッセル「西洋哲学史」ニーチェの章からの引用 市井三郎訳 政治的問題に対置されるところの倫理的問題とは、同情に関する問題である。他人が苦しんでいることによって不幸にさせられる、という意味での同情心は、ある程度まで人間は生まれつきもっている。…

善悪の基盤としての生命について(トルストイと中村元とアランより)

トルストイ 『人生論』より 問題は結局“ある人々の善と考えるものをある人々が悪と考えたり、またその真反対であったりする場合に生ずる人々の間の衝突を解決するにはどうしたらいいか?”ということである。 可能な解答は、なにが悪であるかについての確実な…

モハメド・アリ対アントニオ猪木、日本側と米側の証言の食い違い

7・2 追記 この件について調査している「完本 1976年のアントニオ猪木」柳澤健のアリ戦部分を確認できた。結論からいうと、猪木がもっと卑劣で、アリがさらに高潔だった。 この本によると、元々アリ対猪木がエキシビジョン(ブックありの試合)として…

マイク・タイソン自叙伝『真相』の感想 / タイソンとトルストイ

タイソン自叙伝「真相」。タイソンの軽快な語り口で書かれていて非常に読みやすくスラスラ進める。当事者ならではの卓越したボクシングシーンはもちろんだが、荒んだ少年時代から王者時代以降の贅と快楽を極めた破天荒な生活、さらにそこからの転落、そして…

「クマーラジーヴァ(鳩摩羅什)の思想的特徴」 中村元

『中村元選集 第二十一巻 大乗仏教の思想』から 「クマーラジーヴァの思想的特徴」より、以下要約を記す。 1・顕著な現世肯定。 チベット訳では「縁起を悟ることが煩悩を止滅させる」とあるが、羅什訳では「縁起を悟ることが煩悩を道場とする」等と訳されて…